こんにちは、木口マリ(子宮頸がん経験者、肺がん経験者の家族)です。
前回(第1回)の『 “結心”ワークショップ @Zoomは、意外な事実でいっぱいだった!』では、「不可能を崩すための3要素」や、ワークショップの1つ目のプログラム「タバコのお悩み会議」のリアルレポートをお届けしました。
▼第1回の記事はこちら:
http://www.jlca-renrakukai.com/impressions/148/
今回は、ワークショップの2つ目のプログラム「最新タバコの知識」のお話です。
解説は、ワークショップのファシリテーター齋藤 宏子さん(公衆衛生学修士/大妻女子大学非常勤講師・帝京大学大学院非常勤講師)。タバコの「えええ!」な事実をたっぷり教えていただきます!
「肺がんになる可能性が高くなる」
「喫煙者が吐いた煙も有害」
「タバコの税金がさらに上がった!」
などなど。
私は自分ががんになって以降、タバコ情報には敏感になっていたし、「まあまあ知っている方なんじゃないかな」と思っていました。ところが、今回のワークショップを受けてみたら、知らないことの方が多くてびっくり!!
ところどころで出題されるクイズで、「その答えは知っているはず」と思っても、実はかなりうろ覚え。
「そういえば、これまでまとまったお話を聞いたことがなかった」と気づきました。
それでは早速、紹介します!
みなさんも、まずは【クイズ】を回答してみてから答えをご覧ください。
◇ ◇ ◇
Q1:日本人の喫煙率は、男女それぞれどれくらい?
Q2:タバコに含まれる有害物質は何種類?
Q3:タバコが原因で死亡する病気ナンバー1は?
Q4:受動喫煙での死亡者数は、年間何人?
Q5:ニコチンへの依存が「幸福感」にどう影響する?
Q1:日本人の喫煙率は、男女それぞれどれくらい?
A:男性 約30%(推定約1500万人)、女性 約10%(推定約500万人)!
しかし、ここでのオドロキはこれらの数字よりも、ここ数十年の推移。
男性はどんどん減少している(吸わなくなっている)のに対し、女性はこの50年くらい、ほぼ“横ばい”です。女性の方が、意識が薄い??
Q2:タバコに含まれる有害物質は何種類?
A:5300種類以上!
タバコに含まれる有害物質は、ニコチンやタールだけではないと、知っていました!? 私は知りませんでした。「ニコチン、タールはかなり昔に有害だと確認されたんです」と齋藤さん。タールにいたっては約100年前に見つけられたのだとか。最近は、さまざまなフレーバーを添加するためなどに新たな薬品を加えています。
齋藤さんは、「ニコチン、タールが人体にどう悪影響を及ぼすかは長年研究されているけれど、新しい薬品についてはまだわからないこともある」と言います。
Q3:タバコが原因で死亡する病気ナンバー1は?
A:男性は、肺がん。女性は、脳卒中!(2005年)
でも、それだけじゃありません。男性の死亡は、「肺がん(28%)」に次いで、「脳卒中(17%)」での死亡率が高い! それに肺がん以外のさまざまながんも引き起こします(肝がん8%、胃がん8%、上気道消化管がん7%、尿路がん4%など)。
さらにオドロキなのは、女性の死亡。実は、「肺がん(18%)」よりも、「脳卒中(脳の病気・28%)」や、「虚血性心疾患(心臓の病気・23%)」の方が高い!! これは、男女で身体的な違いがあるためだそうです。
Q4:受動喫煙での死亡者数は、年間何人?
A:約15,000人/年
交通事故で亡くなる方は、1年間に約4,000人。その3倍以上が、他人のタバコのために亡くなっているそうです。これは大変!
Q5:ニコチンへの依存が「幸福感」にどう影響する?
A:ニコチンがないと、幸福感が得られなくなる!
人が「好きなもの」を見て幸福感に満たされるのは、その刺激により脳内に「ドーパミン」という、幸せを感じる物質が出ているから。ところがニコチン依存が起こっている人は、それ以外ではドーパミンが出なくなってしまうそう。 「これが依存症の怖いところです」(齋藤さん)。
ニコチンが体内に入らないと、幸福感を得られなくなるなんて……。ヒエ〜!
◇ ◇ ◇
ここに紹介したのは、ほんの一部! まだまだ「えええ!」な事実はいっぱいです。
もっと聞いてみたい人は、結心のワークショップに参加してみてくださいね!
情報は、時間が経つにつれて「古く」なっていきます。新しい研究はどんどん進められているため、これまでの情報に加えた「さらなる新事実」が登場する場合も。
一度の勉強で満足せず、時折、アップデートすることが大事だなと思いました。
3つめのプログラムは、「禁煙推進ロールプレイ」。
二人一組で、「禁煙を勧める人(推奨者)」と「喫煙者」を演じ、擬似的にそれぞれの立場を体験します。
パターンは二つ。
「喫煙者の夫 vs 肺がん治療中の妻」
「肺がん治療中の父親 vs タバコを吸い始めた未成年の息子」
から選び、行います。
ロールプレイング後の、皆さんの感想はこんな感じ。
私がお相手と行ったのは、父と息子のパターン。
私は息子役で、「タバコをやめるつもりはない」という立場でした。ところが、最後にはお父さん役のお相手にうまく説得されてしまいました(笑)!
その理由は、優しい口調で「なぜ吸いたいと思うのか」と息子(=私)の思いを引き出そうとしてくれたことや、自身の肺がん経験を交えて語ってくれたこと。
ロールプレイングなので、かたくなに「イヤだ!」と言い続けることもできたのですが、「こんなふうに説得されたら、やめようかと思っちゃうかも」という気がしたのでした。
優しさは、心をほぐすのだな〜。
◇
次回(第3回/最終回)は、「(4)ポジティブデビアンス」のお話。
ポジティブデビアンスとは、「人とは違うポジティブな方法で成果をあげている人の行動に着目し、それを普及していく」という手法です。
ご家族の禁煙を成功に導いた「すーさん」から、心温まるストーリーをお聞きします。
乞うご期待
取材・文:木口マリ
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